Global Kryner "Krynology" (2005)


オーストリアやドイツでポピュラーな伝統音楽に「オーバークライナー」というスタイルがあります。アコーディオンクラリネット、トランペット、ギター、バリトン・ホルン(ユーフォニウム)にボーカルを加えた6人編成で民謡を演奏するというもので、チロルっぽい民族衣装を着て酒場などで演奏しているような音楽です。
このオーバークライナー、一見伝統的な民族音楽みたいな顔をしてますが、1950年頃に創り出されてヒットしたのが始まりだというから、別にそれほど長い歴史があるわけではありません。まあ、それほど歴史のない日本の演歌が「日本人の心の歌」などと言われてるのと同じようなものでしょう。
さて、この田舎っぽい音楽の編成そのままで、世界的なヒット曲をカバーしてみよう、という無茶な試みをしたのがこのバンド。バンド名もオーバークライナーをもじって「グローバルクライナー」。カバーされている曲はマドンナ"Like A Virgin"、トム・ジョーンズ"Sex Bomb"、ビリー・ジョエル"Honesty"、ブリトニー・スピアーズ"Oops, I did it Again"などなど洋楽のヒット曲ばかり。いわばオーストリア版のDolapdere Big Gangみたいなバンドです(特に"Sex Bomb"は両バンドがカバーしているので聞き比べると面白い)。
演奏のレベルはかなり高いです。しかも女性ボーカルはポップス風の歌い方をしていて、普通にかっこいい。それでいて、ドラムレスで管楽器中心のバンドの響きはなんとも脳天気。さらにいきなりヨーデルが入ってチロル風になったりと、かっこいいのかダサいのかさっぱりわからないミスマッチ感覚が強烈なバンドであります。
"Krynology"は2ndアルバムで、動画はその中から"Y Asi"。ユーロヴィジョン・ソングコンテスト2005に出場したときの映像です(準決勝で敗退)。

http://www.myspace.com/globalkryner