Ashley MacIsaac "hi™ how are you today?" (1995)


前回はスペインのケルト音楽を紹介しましたが、カナダのノヴァスコシア州ケープブレトン島にもケルト音楽の文化があります。とはいっても2000年前にケルト人が新大陸に、とかそういうことではなく、19世紀に大量にスコットランド人が移民してきたからなんですが。
ノヴァスコシアという名前自体、ラテン語で新スコットランドという意味で、ケープブレトン島という名前もフランスのブルターニュ地方からとられたもの。どちらもケルト文化が色濃く残る地域です。
そのケープブレトン島出身で1975年生まれの天才フィドル奏者がアシュレイ・マックアイザック。20歳で発表したパンクロック色の濃いこのアルバムで一気に世界的な人気を得たんですが、その後長く不遇の時代が続いたのは、彼自身のあまりにも過激すぎる言動のせいでしょう。
テレビ中継されていたライブで、キルトの下の足を高く蹴り上げて性器露出事件を起こしたり、男性の恋人との変態セックスについて語ったり、人種差別発言を繰り返したりととにかく問題続出。雑誌のインタビューで「マイケル・ジャクソン以上の奇人になりたい」と答えたこともあります。わりと上品なイメージのある伝統音楽プレイヤーの中ではかなりの異端児です。
日本との関わりでいえば、アシュレイは沖縄を舞台にした日本映画『ナビィの恋』に、アイルランドから来たフィドル奏者役で出演しています。また、本人とは直接関係ないんですが、『BLEACH』の朽木ルキアのテーマミュージックとして、このアルバムに収録されている"Wing-Stock"が設定されているとか。
動画は同じアルバムの中のヒット曲"Sleepy Maggie"。同じケープブレトン島出身のゲーリック・トラッド・シンガー、メアリー・ジェーン・ラモンドをボーカルに迎えています。