Oi Va Voi "Laughter Through Tears" (2003)


さまざまな民俗音楽がある中で、どうもわかりにくく感じるのがユダヤ音楽。ユダヤ人は世界各国に散らばっているため、一口にユダヤ音楽といっても、その音楽性はあまりにも多種多様。これはもう音楽傾向というより演奏者の属性といった方がいいような気もします。
その「ユダヤ音楽」と銘打ったバンドの中でも最先端を突っ走っているのが、ロンドンを拠点に活躍しているオイ・ヴァ・ヴォイ。奇妙なバンド名は、ヘブライ語で「おやまあ!」といった意味です。
"Laughter Through Tears"は、2002年の自主制作盤"Digital Folklore"に続く2ndアルバムで、事実上のデビューアルバム。このアルバムにより、オイ・ヴァ・ヴォイは新世代のユダヤ音楽バンドとして高い評価を得ました。その音楽はアシュケナージ、セファルディの両ユダヤ音楽や東欧音楽の伝統の上に、現代的なロックやクラブミュージックの要素を大胆に加えたもの。民俗音楽的な素朴さはほとんど感じられず、何気なく聴いただけだと普通にロックなんですよね。まあ、だからこそ新世代のユダヤ音楽という評価を得たのでしょうけど。
しかし、このあとバンドを数々の苦難が襲います。まず、正式メンバーではないものの、いつもボーカルとしてライブに参加していたKTタンストールがソロ歌手として成功を収め、バンドの活動に参加できなくなります。続いて結成以来の中心メンバーとして活躍していたヴァイオリニストのソフィー・ソロモンがバンドを脱退。さらにはレコード会社とのトラブルが勃発。解散してもおかしくないほどの危機を乗り越え、ようやくニューアルバムが出たのが2007年のことです。
動画は"Laughter Through Tears"の1曲目に収められた"Refugee"。ボーカルはKTタンストール。

http://www.myspace.com/oivavoi