Shigure "Kisetsu o koete" (2007)

本日はジャケット写真なしです。
前回の"Bear-Garden"に引き続き、日本語の歌を歌う外国人つながりで。ドイツはベルリンのジャパニーズ・フォーク・ユニット、その名も"Shigure"です。ここでフォークと言っているのは、民謡という意味でのフォークではなく、日本でいう「フォークソング」のこと。
ベルリンなのにジャパニーズ・フォークとはどういうことかというと、説明よりもとにかく聴いてみてください。
http://www.myspace.com/shiguremusic
はい。聴きましたか? おわかりいただけたでしょうか。まさにジャパニーズ・スタイルのフォークソング。私はなんとなく「ベルリン忠臣蔵」という言葉を思い出しました。特に意味はないんですが。
この"Shigure"というユニット、たまたまmyspaceで見つけたのですが、それ以外の情報はほとんどありません。作詞、作曲、歌ともにKaiと名乗っているドイツ人の若者がひとりでやってるようです。写真からすると20代前半くらいでしょうか。好きな音楽は"Quruli, Yuzu, Hirakawachi 1-choume, KAB, Kobukuro, Bump of Chicken"とのこと。こんなドイツ人青年がいるとは! 日本語で作詞できるくらいなので相当日本語は堪能なのでしょうが、来日経験があるのかどうかもよくわかりません。
残念ながら、詞にはところどころ意味のとりづらいところがあります。たとえば「季節を越えて」という曲には、

小鳥歌う白空に浮かぶ
アフリカに引っ越す寒くなるから
今も誰かと気楽な家に引っ込んでいる
愛しい人と一緒お茶を飲む
秋の空の下長い散歩をする
僕は君と腕をからめて歩いている

という詞があるんですが、主語のない文が多くてどうも情景が想像しづらいものがあります。でもこれが、英語版を読むとようやく意味がわかるのです。

Little birds sing while floating in the sky
They move to Africa because it became cold
Now also people stay in their cozy homes
Drinking tea together with the person they love
Long walks under the autumn sky
I’m walking with you arm in arm

ちょっと虚をつかれたのが、「アフリカに引っ越す」のが「小鳥」だということ。日本に住む私たちには、渡り鳥がアフリカに渡るという発想がないので、これは意外でした。このへんはヨーロッパ人ならではの感性でしょう。
こういうフォークソングは、日本なら路上演奏でもおなじみのありふれた音楽ですが、ドイツで果たして理解されるのかというと、たぶん無理なんじゃないかなあ、と思います。詞も日本語では誰にもわかってもらえないだろうし。それでも遠いドイツの地であえて日本語フォークを歌うKaiくんの孤高な姿には深い感動を覚えるのです。