Clann Lir "Clann Lir" (2005)


Clann Lirはロシアのケルティック・バンド。ロシアでケルト音楽? と疑問を持たれるかもしれませんが、そういうバンドがあるのです。
Clann Lirというバンド名は、ゲール語で「リールの子供たち」という意味。継母に妬まれ魔法の力で白鳥の姿に変えられた4人の王子と王女たちが900年間川や湖を放浪するという、ケルト三大悲話のひとつに数えられる物語です。
バンドのリーダーでボーカルとギターを担当している女性は、ヘラヴィーサことNatalia O'Shea。以前紹介したことのあるロシアン・フォークロックバンドメーリニツァでも作詞作曲とボーカルを務めている才女であります。
そのヘラヴィーサのケルト音楽への深い傾倒を示すのがこのアルバム。メーリニツァの音楽は汎ヨーロッパ的なフォークロックだったけど、このバンドで演奏するのはオーソドックスで古典的なケルト音楽。使われている楽器はギターにアイリッシュハープ、バグパイプ、ホイッスルなど。華やかなフィドルは使われておらず、全体にスローな曲ばかりなので落ち着いた印象のアルバムです(地味ともいう)。
ケルト音楽の本場から遠く離れたロシアで、こうした伝統に忠実なバンドがあるというのがなかなか興味深く感じられますね。地元アイルランドスコットランドの大胆に弾けたバンドをいろいろ聴いたあとだと特に。