L'ham de Foc "Cor De Porc" (2005)

ヨーロッパの伝統音楽といえばアイリッシュミュージックが有名だけど、奥が深くて面白いのがスペイン。有名なフラメンコのほかにもスペイン系ユダヤ人のセファルディ音楽やガリシア地方のケルト音楽など多彩な音楽的伝統があるし、長いことイスラム圏に支配されていたため、アラブと西洋が入り交じったエキゾチックな音楽が楽しめます。
聖母マリアのカンティガ集」とか「モンセラートの朱い本」など、スペイン中世の古い曲集が録音されてCDショップの古楽の棚に並んでいるけれど、その妖しい響きはクラシックというよりむしろほとんど民族音楽です。
そのスペインのスーパー古楽/民族音楽バンドがL'ham de Foc。スペイン、イタリア、ギリシャといった中世地中海のトラッドをベースにしたオリジナル曲を、ウード、ブズーキ、ハーディーガーディ、タブラ、ネイなどなど古今東西の民族楽器で演奏するというたいへん賑やかなバンドです。変拍子を多用した複雑なリズムを弾きこなす技術は完璧で、さらにその上に、作詞も担当しているマーラ・アランダの妖艶なボーカルが乗る。曲も演奏も非常にハイレベルなバンドですが、特に3rdアルバム"Cor De Porc"の完成度は尋常ではありません。傑作。
メンバーのほとんどが複数の楽器をこなしていて、さながら民族楽器の見本市のような状態。中でも凄まじいのはバンドの中心となっているエフレン・ロペスという方で、ウード、ジュラ・サズ、メイダン・サズ、ディヴァン、バグラマ、クレタン・ラウタ、トロンパ・マリナ、ハーディ・ガーディ、ギターン、ペルシャン・サントゥール、ランゲレイク、アフガン・ルバブ、タンプラ、カヌーン、リュート、ジュンブシュ・ウード、ジュンブシュ・タンブール、ガリシアン・パンデーロといった楽器を演奏してるとか。ほとんど弦楽器のようなのだけど、どんな楽器なんだかさっぱりわかりませんよ!
下はエフレン・ロペスさんのmyspaceサイト。ほかのバンドもかけもちしているので、"L'ham de Foc"の曲だけじゃありませんが、試聴のいちばん上の"Voldrien"が3rdアルバム1曲目の曲です。
http://www.myspace.com/efrenlopezmusic
動画はアルバムの8曲目に入っている"Encara"。