Yasmin Levy "La Juderia" (2005)


ローマ帝国によりパレスチナを追われたユダヤ人のうち、スペインやポルトガルに移り住んだ人々を「セファルディ」と呼びます(東欧に移り住んだ人々は「アシュケナージ」)。中世にイベリア半島を支配していたイスラム政権はユダヤ人に寛大でしたが、レコンキスタによりキリスト教徒がイスラム政権を滅ぼすと、ユダヤ教徒もまた異教徒としてスペインから排撃され、北アフリカや中東、南ヨーロッパなど地中海沿岸へと移住していくことになりました。彼らは中世スペイン語の特徴をそのまま残した「ラディノ語」という言語を使い、そしてスペインとアラブの要素がミックスされた独特の音楽を発展させました。それがセファルディ音楽です。
前置きが長くなりましたが、ヤスミン・レヴィはトルコ系のセファルディで、1975年エルサレム生まれ。ラディノ語でセファルディ音楽を歌う実力派として注目されている歌手です。
"La Juderia"はその2ndアルバムですが、まず圧倒されるのがその素晴らしい表現力。情念のあふれ出るような深みのある歌声は一度聴いたら忘れられません。彼女が歌うのは、フラメンコとアラブ音楽が融合した独特の音楽(曲によっては、フラメンコそのものに聞こえることも、アラブ音楽そのものに聞こえることもあります)。心をざわつかせる情熱と哀愁に満ちた不思議な魅力のある音楽です。
試聴はこちらで。
http://www.myspace.com/yasminlevy
下の動画は"La Alegria"という曲のPV。だいぶフラメンコ寄りの曲です。