Krakatau "Magical Match" (2000)


ガムランやケチャなど独自の伝統音楽が盛んなインドネシア。きっと、普通のアジアンポップ以外にも、こうした伝統音楽を大胆に取り入れた魅力的なグループがあるに違いない、と探してみて見つけたのがこのグループ、クラカタウ。
特にこのアルバムは一聴してびっくり。1曲目の「にゃにゃにゃーにゃにゃー♪」(本当にそう歌ってるのです)とキュートに歌う女性ボーカルでいきなりがつんとやられてしまいました。ルバブ(弦楽器)やスリン(竹笛)、ガムランなどの伝統楽器と電気楽器の絡み合いは絶妙。ラップなど西洋音楽の要素も取り入れたサウンドはおそろしくポップ。インドネシアの伝統的な音階はスレンドロ音階やペロッグ音階といって、西洋の平均律にはない音を使うのだけど、なんでもクラカタウはベースとキーボードをスレンドロ音階に合わせて調律しなおしているのだとか。
なんだこの楽しさは。こんなに楽しいバンドがあったのか!と、たいへんうれしくなって、ほかのアルバムも聴いてみたのですが、このアルバムの前に出た"Mystical Mist"は普通のエスニックフュージョンであんまり面白くない。次の"Rhythms of Reformation"はといえば、パーカッションを前面に出したソリッドなアルバムで、お祭り的ななんでもありの楽しさは消えてしまってました。なんでも、リードボーカルで魅力的な歌声を響かせていたトリー・ウタミが脱退してしまったよう。あーあ。
つまりこのアルバムは、バンドとボーカリストの出会いが生み出した奇跡のような一枚なのでしょう。
動画はアルバム2曲目の"Barala Duit"。

バンドについてはこちらに詳しい解説があります。
http://www4.plala.or.jp/ganqtan/Kagyu/kagyu9.html