2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Gadalzen "Chromatophonies" (2002)

これまで、ケルトやスペイン、北欧、東欧などのヨーロッパ民族音楽を紹介してきましたが、こうした民族音楽が盛んな地域は地理的にはいずれもヨーロッパの中でも周縁部。フランスやイタリア、ドイツといったヨーロッパ中央部は、クラシック音楽の印象が強い…

"The Rough Guide To The Music Of Japan" (2008)

イギリス版「地球の歩き方」みたいな"The Rough Guide"シリーズという旅行ガイドブックがあるんですが、そのガイドブックを出しているRough Guides社が、World Music Network社と提携して、世界各国の民族音楽のアンソロジーCDを出しています。タイトルは同…

Sara Tavares "Balancê" (2006)

国籍はポルトガルですが、アフリカ音楽といっても違和感がないのがこのアルバム。 サラ・タヴァレスは1978年リスボン生まれ。カーボベルデ出身の両親の間に生まれました。父親が家族を捨ててカーボベルデに帰ってしまったのは彼女が4歳の時。母親は人生をや…

Iļģi "Sēju vēju" (2000)

コメント欄でリクエストをいただいたので、今日紹介するのはラトビアのフォークロック。ラトビアは、バルト三国のひとつで、エストニアの南に位置する国です。 ラトビアのアルファベットがまたこれが複雑で、アーティスト名読めません。lにしっぽが生えたよ…

Michael McGoldrick "Fused" (2000)

おそらく現代ケルト音楽界最高のフルート奏者が、マイケル・マックゴールドリックです。1971年マンチェスター生まれ。ケルト音楽の2大スーパーバンドであるフルック、ルナサ両方の創設メンバーのひとりで、一時期はスコットランドのフォークロックバンド、カ…

Ashley MacIsaac "hi™ how are you today?" (1995)

前回はスペインのケルト音楽を紹介しましたが、カナダのノヴァスコシア州ケープブレトン島にもケルト音楽の文化があります。とはいっても2000年前にケルト人が新大陸に、とかそういうことではなく、19世紀に大量にスコットランド人が移民してきたからなんで…

Llangres "Esnalar" (2005)

ケルトというとアイルランドやイギリスを思い浮かべがちですが、スペインのガリシア地方とアストゥーリアス地方にはかつてケルト人が定住していて、いくつかの遺跡も残されています。また、今でも「ガイタ」と呼ばれるバグパイプが伝わっており、スコットラ…

Teresa Salgueiro & Septeto de João Cristal "Você e Eu" (2007)

テレーザ・サルゲイロ、と聞いてもあまりぴんとこないかもしれませんが、マドレデウスなら知っている人も多いでしょう。日本でもCMなどで使われたこともあるポルトガルの有名バンドです。 そのマドレデウスでリードボーカルとして活躍していたのが1969年生ま…

Gjallarhorn "Sjofn" (2000)

Gjallarhornはフィンランド西海岸のスウェーデン語使用地域で1994年に結成された伝統音楽バンド。そのため国はフィンランドなんですが、歌詞はスウェーデン語で歌われます。 日本語では「ヤァラルホーン」と表記されることが多いバンド名は、北欧神話の神々…

Lila Downs "La Linea" (2002)

人はなぜ伝統音楽を歌うのでしょう? 理由はさまざまだと思いますが、自分のアイデンティティを確認するためというのも大きな理由のひとつでしょう。 リラ・ダウンズは1968年生まれ。風貌からわかるとおりアメリカ先住民の血を引いています。彼女の経歴がな…

Tara Fuki "Auris" (2007)

チェコのアーティストでは、以前ヴァイオリンを弾きながら歌うイヴァ・ビトヴァを紹介しましたが、今回紹介するタラ・フキは、チェロを弾きながら歌う女性デュオ。チェコってのはなかなか面白いアーティストがいる国です。 メンバーはDorota BarováとAndrea …

Полынья "Капли на листьях" (2007)

さて何日か前にも未知のアーティストの探し方について書きましたが、今回紹介するのはまた別の方法。 たとえばИнна Желаннаяというアーティストのアルバムを聴いてみて気に入ったとしましょう。そしたらまずやってみるのは、last.fmのそのアーティストのペー…

Watcha Clan "Diaspora Hi-Fi: A Mediterranean Caravan" (2008)

南フランスのマルセイユといえば、紀元前からの交易都市。あらゆる人種と宗教が集まるコスモポリタン都市として知られていますが、このマルセイユを拠点に10年以上活動しているバンドがWatcha Clan。"Diaspora Hi-Fi"は彼らの5枚目のアルバムになります。 デ…

Altan Urag "Made in Altan Urag" (2006)

この前は内モンゴルのアーティストを紹介しましたが、今度はモンゴルです。 Altan Uragはモンゴルのフォークロック・バンド。2001年にウランバートルの音楽学校の伝統音楽クラスを卒業した若者たちが結成したバンドで、バンド名は「王位(ハーン位)の継承者…

Souad Massi "Mesk Elil" (2005)

今日はまず、あんまり日本では知られていないアーティストをどうやって探しているのかという話をします。私の場合はまずBBC Radio3のAward of World Musicをチェックすること。毎年の受賞者と候補者の名前をYouTubeなどに入力して聴いてみれば、だいたい主だ…

Susheela Raman "Salt Rain" (2001)

インドです。 インド音楽というと、甲高い声で歌われるボリウッド映画の陽気なダンス音楽か、シタールやヴィーナが息の長いメロディを延々と弾き続ける古典音楽がまず思い浮かぶのだけれども、そのどちらでもない、これまで聴いたことのないような音楽を聴か…

Seth Lakeman "Freedom Fields" (2006)

ギターやピアノの弾き語りというのは別に珍しくないんですが、歌と楽器との両方に神経を行き届かせるのが難しいからか、ヴァイオリンの弾き語りはあまり見かけません(それを軽々とやってのけているイヴァ・ビトヴァみたいな天才もいますが)。 そのなかなか…

Sambasunda "Sunda Bali" (2000)

サンバスンダは、1998年に西ジャワのスンダ地方の中心都市バンドゥンで結成された新世代ガムラン・アンサンブル。バンドゥンは、ガムラン・ドゥグンというジャワ島独特の小編成でゆったりとした癒し系ガムラン音楽の中心地なのだけど、彼らは伝統を受け継ぎ…

Urna Chahar-Tugchi(烏仁娜) "Amilal" (2005)

Urna Chahar-Tugchiは1968年生まれ。中国内モンゴル自治区のオルドス出身で、ドイツ人のツィター奏者Robert Zollitschと結婚し、現在はドイツを拠点にヨーロッパで活動しているアーティスト。モンゴルといえば、喉から声を出すホーミーといった特殊唱法が有…

Čankišou "Densé ju" (2002)

これまたなんと読むのかわからないんですが、Čankišouは1999年に結成されたチェコの無国籍音楽バンド。 バンド名は、"Canki people"という、ジョン・マンデヴィルの『東方旅行記』に出てくる伝説上の一本足民族の名前からとられたのだそうで、ジャケットにも…

Niyaz "Niyaz" (2005)

Niyaz(ペルシャ語で「切望」といった意味)は、在米イラン人を中心とした3人組のバンドです。ボーカルのアザム・アリはイランのテヘラン生まれ。1979年のイラン革命で家族とともに母国を離れてインドに移り住み、1985年にアメリカに移住、現在はアメリカで…

Pierre-Laurent Aimard, Aka Pygmies "African Rhythms" (2003)

クラシック音楽は、つねに「辺境」(あくまで、ヨーロッパから見て、ですが)の音楽に刺激を受けて進化してきたところがあります。たとえば、トルコの軍楽に影響を受けてモーツァルトはトルコ行進曲を作ったわけだし、バルトークやコダーイはハンガリー民謡…

Tinariwen "Aman Iman" (2007)

ジャケットの男イブラヒムの鋭い眼光からしてすでにただ者じゃない感じが漂ってくるのですが、このバンド、確かにただ者じゃありません。 彼らの出自は、サハラ砂漠で遊牧民として生活していたトゥアレグ人です。植民地政策と国家形成により分断され、国家な…

Ana Alcaide "Viola de Teclas" (2006)

アナ・アルカイデはスペインの古都トレドを拠点に活動しているニッケルハルパ奏者です。 ニッケルハルパといえば鍵盤つきのヴァイオリンみたいなスウェーデンの伝統楽器。なぜまた遠く離れたスペインで? という疑問が当然思い浮かぶのですが、なんでも彼女…

Dead Can Dance "The Serpent's Egg" (1988)

なんか有名すぎて今更紹介するのは気が引けるところもあるのですが、オーストラリア出身のバンド、デッド・カン・ダンスの4枚目のアルバムです。発表は1988年なのですが、今聴いてもまったく古さは感じられません。世界のさまざまな民族音楽やヨーロッパの宗…

Guisela Santa Cruz "Otra vez" (2007)

フォルクローレ、ときくと日本人が思い浮かべるのはケーナやチャランゴ、サンポーニャといった伝統楽器だと思うんですが、実はそうした楽器を使わないフォルクローレもあります。 ギセラ・サンタクルスは、1975年生まれの人気フォルクローレ・シンガーです。…

Clann An Drumma "Tribal Waves" (2004)

数あるケルト音楽バンドの中でも、たぶんもっとも野蛮(笑)なのがこのバンド。スコットランドのグラスゴーを拠点として活躍しているクラナン・ドラマです。まず編成からして変わっていて、バグパイプ1人のほかは打楽器(太鼓)ばかり(人数は場合によって変…

Dobet Gnahoré "Ano Neko" (2004)

ドーベイ・グナオーレはアフリカのコートジボワール出身のシンガーソングライター。首都アビジャンで音楽活動を開始しましたが、1999年にクーデターが発生。当時23歳だった彼女は故国を離れ、フランスのマルセイユに移住しました。コートジボワールはつい最…